賃貸借契約の種類

こんにちは!アスシア不動産です。

今回は賃貸借の種類(居住用建物)について解説していきたいと思います。

以外に知らない定期借家契約のルールやあまり目にしない民法での賃貸借ルールなど分かりやすく説明します。

今回はマンションやアパートなど賃貸居住用の建物のみにフォーカスいたします。

それぞれ借主の目線と大家さんの目線のメリット、デメリットもございますので是非最後まで目を通してください♪

賃貸借の種類とは?

賃貸借の種類は大きく分けると3種類ございます。

  • 普通賃貸借契約
  • 定期賃貸借契約
  • 一時使用賃貸借契約

簡単に説明すると「普通賃貸借契約」は更新ができるタイプの契約、

「定期賃貸借契約」は契約の期間が決まっており更新ができないタイプの契約です。

ここまでは皆様がご存じのとおりかと思いますが、

実は実務上に設けられたルールがたくさんありますので勘違いされる方が多いのが現状です。

「一時使用賃貸借契約」は聞いたことがある方は少ないかと思います。

後ほど説明いたしますので順を追っていきましょう!

普通賃貸借契約のルール

普通賃貸借契約は先ほど説明した通り、1年や2年毎に更新ができるタイプの契約となります。

こちらは「借地借家法」という法律で借主を保護するために様々なルールが決まっております。

世に出ている居住用賃貸物件の契約期間は2年が多く、中には1年毎に更新できるタイプのマンションもございます。

1年以上の契約で契約期間は自由に設定すること多く、

更新のほとんどが実務上、法廷更新(自動更新)となります。

1年未満に設定すると「期間の定めの無い契約」となります。

この場合、解約予告など定めることができないためほとんど1年未満で設定するとこはありません。

管理会社、もしくは大家さんより2ヶ月前頃から更新のお知らせのハガキや書類が自宅へ届くことが多く、更新手続きが進められます。

しかし、首都圏の場合、9割以上の物件で更新時に「更新料」というものがかかります。

更新料の相場は賃料の1ヵ月分。

稀に賃料の1.5ヶ月分や。更新料とは別に管理会社が「更新事務手数料」という名目で数万円~0.5ヶ月分程、請求されるケースもございますので必ず契約時に確認が必要です。

契約書に書いていないのに請求する悪徳業者もまだ少なくはないので更新料以外の費用を請求された場合は必ず契約書を見返してください。

更新拒絶はできるの?

もちろん契約上、解約予告期間が決まっているので1~3ヶ月前解約でいつでも解約することが可能となります。

大家さん側からは原則更新拒絶をすることができません。

大家さんから更新拒絶をする場合には「正当事由」が必要となります。

ここでは詳しくは説明しませんが、居住・営業の必要性、立替・再開発の必要性などが問われ、

そのハードルは非常に高くなかなか認めてもらえないことがほとんどです。

これが普通賃貸借契約の最大の特徴です。

(借地借家法)第28条

  1. 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

借地借家法第28条 - Wikibooks

1度賃貸すると借主の都合で退室するまで貸し続けなければなりません。

大家さんからすると賃貸経営は貸し続けることで利益となりますが、

万が一、地価相場が高騰し、売却を考えたとしても、安易に借主を退去させることが不可能となります。

そのため、借主は半永久的に住み続ける事が可能となります。

しかし家賃の滞納、隣人トラブルなど借主が原因で大家さんと信頼関係が崩れた場合、

強制的に追い出されるケースもありますのでご注意を!

定期賃貸借契約のルール

定期借家契約は契約段階で契約期間が決まっており、更新という概念が無いため、契約期間満了で強制的に契約終了となります。

こちらも「借地借家法」という法律が適用されます。

このルールはなぜできたのか。

それは大家さんを保護するために作られた契約となります。

先ほど普通賃貸借契約で説明したように、半永久的に借り続けられてしまうと、

売却したいときに不利になることがあったり、自分が使用したい際に使用できなかったりします。

そのため、定期借家契約にしておけば契約期間が満了になったら自己使用可能となりますので自由度が高まります。

具体的な例では「転勤」が理由として多く、期間は1年未満から定めることが可能となります。

実務上では1年未満の「自宅の建替え用」や、転勤で2年~5年の期間を定めることが多いようです。

その他、管理会社の意向で入居後のトラブル防止や、

家賃滞納を防ぐために、あえて保険的に定期借家契約を設定しているケースもございます。

定期借家契約を締結する際には書面での契約が必ず必要となります。

実務上、普通賃貸借契約も定期借家契約も必ず書面で契約締結しますので気にする必要はありませんが、、、

また更新が無く期間満了により契約が終了する旨の書面も交付する必要があります。

さらに満了の1年~6ヶ月前までに必ず大家さんから借主へ通知する必要があり、

これを怠ると通知した日から6ヵ月間は契約が終了しません。

かなり諄いルールですね。

(定期建物賃貸借)第38条

  1. 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
  2. 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
  3. 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
  4. 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
  5. 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
  6. 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
  7. 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
借地借家法第38条 - Wikibooks

更新の代わりになるもの

定期借家契約は更新という概念はありませんが、代わりに「再契約」ができるケースがあります。

よくあるのは下記のようなケースです。

  • 転勤の期間が予定よりも長引く
  • 売却するつもりだったけど気分が変わった
  • 予め再契約型と謳っている契約

期間満了時に契約を巻き直せるケースがございます。

大家さんからは最低でも6ヵ月前までに通知が必要なため、

6ヵ月前に再契約するか否かの判断もしなければならないので、

借主側は次の引っ越しまでにゆとりがでてきます。

また借主側の途中解約は原則不可ですが、

やむを得ない理由がある場合には1ヶ月前までに大家さんへ通知すれば解約は可能となります。

やむを得ない場合でも実務上は1~2ヶ月前の解約予告期間が定められているケースがとほんとですので借主に不利になることはありません。

万が一、借主の自己都合で契約満了まで解約ができない契約だと、借る人がいなくなりますから大家さんにとっても不利ですよね。

さらに、再契約が可能な場合は、更新料と同じイメージですが「再契約料」というのが発生します。

相場は賃料の1ヵ月分が多いようです。

さらに事務手数料を請求されるケースもありますので必ず契約書を確認しましょう!

一時使用賃貸借契約のルール

一時使用賃貸借契約は「借地借家法」では無く、「民法」のルールで契約を行います。

借地借家法で借主保護の観点から借主の不利になりそうなイメージですが、そんなことはありません。

定期借家契約のルールに類似しますが、最初に保証最低期間を定め、

その後は大家さんの帰任まで住み続けられるという契約になります。

基本的には大家さんの転勤を理由に「一時使用賃貸借契約」を利用します。

定期借家契約と明らかに異なるのは、大家さんの解約予告が3ヶ月前となります。

保証最低期間内の大家さんからの解約は正当事由が必要となりますが、

保証期間後は3ヶ月以内解約予告となりますので、大家さんからしても非常にお手軽な契約となります。

借主はできれば期間満了までに次の住まいを探したいところですが、

万が一、大家さんから解約通知が来なければ、次の住まいが見つかるまで住み続けることができます。

普通賃貸借と定期借家契約のメリット・デメリット

それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

【借主側のメリット・デメリット】

普通賃貸借のメリット
・半永久的に住み続けられる
普通賃貸借のデメリット
・更新料が掛かかる
定期借家のメリット
・期間が長くても更新料が掛からない
・賃料が相場より安い
定期借家のデメリット
・更新ができない

【大家さんのメリット・デメリット】

普通賃貸借のメリット

・相場通りの賃料が貰える

・更新料が貰える

普通賃貸借のデメリット

・途中解約ができない

定期借家のメリット

・期間満了で解約となるため将来の計画がしやすい

定期借家のデメリット

・更新料が貰えない

・家賃が相場より安くなる

まとめ

いかがでしたでしょうか。

普通賃貸借契約も定期賃貸借もそれぞれ知られざるルールがあり、

実務上のルールがございます。

さらに踏み込んでいくとまだまだ細かいルールはたくさんございますが、

生活する分にはこの記事で十分かと思います。

借主さんも大家さんもそれぞれメリット・デメリットを知ったうえでお部屋探しのしていただきたいと思います。

そのための下準備として最低限の知識を取り入れていただければと思います。

知らなければ損するのが法律です。

特に居住用マンションの法律は非常に身近であり、

皆様が当たり前に知らなければ身近なところで損してしまいますので是非理解いただければ幸いです。