原状回復と法改正

こんにちは、アスシア不動産です。

今回は建物の賃貸借におけるトラブルが最も多い

「退去時の原状回復」について書きます。

退去時におけるクリーニング費用、内装工事等

について、なんと120年ぶりの民法改正

ということもあり日本中の不動産業界で

話題を呼んでおります。

これまでの「原状回復」と何が変わったのか

分かりやすく簡単に解説したいと思います。

そもそも現状回復とは?

 

簡単に説明すると、借主はお部屋を

退去するときに借りたときの状態に戻して

大家さんへ返還してくださいという事です。

ポイントは3つあります。

  • 自然損耗(普通に使用してて壊れてしまった)、経年劣化(形ある物は年数が経つといつか壊れる)に関して借主は費用負担をしなくてよい。
  • 借主の故意・過失「過って故障させてしまった設備(お風呂やキッチン)や建具(扉や壁紙など)」は修理費用を払って大家さんへ返還すること。
  • 但し、特約で①を借主へ費用負担させるのは有効にできる。

これらが大まかな原状回復といいます。

他にも「負担割合(住んだ年数で負担する割合)」

「軽微な修繕(畳の張替え、パッキンや蛍光灯

・・・etc)」

は借主負担にできる特約が結べるなど細かい

ルールなど設けられておりますが、

詳しく知りたい方は下記タップで参照ください。

補足ですが、借主の故意・過失の例として

以下の代表例がございます。

・テーブルや椅子を引きずった事により床がすり傷ついた(靴下を履かせれば防ぐことができます)

喫煙によるヤニ汚れ、臭気の付着

・ペット飼育による傷、汚れ、臭気

・引っ越し業者が付けた傷(当事者間での話し合いが必要です)

では今回の法改正は何が変わったのか。

法改正で変わったこと

新法

・第六百二十一条

「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

このような内容となります。


あれ?いままでと何が変わったの?どこが違うの?

という声が聞こえますね。

これまでは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

国土交通省が定め、東京都だと「賃貸住宅紛争防止条例」

いわゆる「東京ルール」が発足されました。

つまり今回の法改正はこのような条例やルールを

「明文化したに過ぎない」という事です。

自然消耗の負担と特約について

借主に対して自然損耗などの現状回復の特約を

有効にさせるには以下要件が必要となりますので

しっかり認識をしておいてください。 

  • 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること。
  • 賃借人が特約によって原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。
  • 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。

こちらは国土交通省のガイドラインに

定められているものとなります。

今でも敷金が返ってこない、

クリーニング費用が高すぎて払えないなど多くのトラブルが

ございます。

法改正により借主へ費用負担させるハードルが

多少上がったように思えますが、

実務上変わりはありません

のでトラブルを緩和する策とは思えません。

 借主の足元をみて高額な請求をする業者は

少なくありませんので、トラブルになる前に

我々にご相談いただけると避けられるトラブル

があるかもしれません。

特に学生さんや新社会人、

ご高齢の方は泣き寝入りする前に

契約時にしっかりと退去費用について

説明してもらうようにしましょう!